次に、裁判上での和解や任意の和解をした時の税金について考えてみましょう。
具体的な数字で説明をした方がわかりやくい話の為、簡単な数字に置き換えますが、90万円の過払い金、10万円の過払い金利息、合計100万円の返還請求事案として考え、和解で80万円(8割)の返還をされた場合、本来の過払い金90万円に満たない為、全額過払い金と考えるかそれぞれ8割に相当する72万円が過払い金で、8万円が過払い金利息と考えるかの違いが生まれます。
税務署においては、後者の按分(8割)する考えを主張しそうですが、前者・後者共に決定した内容ではありません。具体的事案については、申告の際などに確認をお願いしたい内容です。
●弁護士報酬や訴訟費用の経費参入
最後に、弁護士依頼した時に支払う報酬や訴訟費用について考えてみたいと思います。
まず弁護士に依頼した時に支払う報酬についても、税務署の見解によると経費として按分するとのことです。この場合も具体的な数字があった方がわかり易い為、簡単な数字に置き換えますが、120万円の過払い金、30万円の過払い金利息、合計150万円の返還請求事案として、弁護士報酬は消費税を含む21%とします。
150万円×21%(弁護士報酬)=315,000円が弁護士報酬となります。150万円の内、30万円が過払い金利息ですから、315,000×30/150(按分)=63,000円は経費として参入できるので、237,000円が雑所得となり、20万円を超えるため課税される事になります。
また、訴訟費用については、税務署の見解が、本来過払い金(元本)の返還を請求する為のものであり、訴訟費用が過払い金(元本)をベースに計算されている事を理由に、費用として差し引く事はできないとの事です。(この内容では、合致できない事が多々あります。訴訟の目的が、過払い金(元本)の返還は任意でも行うが、過払い金利息まで請求するとなれば、訴訟提起しないと返還しない貸金業者が多々ある事です。)
このような事案についてなかなか納得いかない事もあります。
税務署においても、色々な事案を積み重ねる事によって、今後は結論が変わっていくこともあるのではないでしょうか?
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